ノルウェー・クルーズ12日間の過ごし方
ノルウェーの北西部南のベルゲンから北のキルケネスまで約2,400km、大小34の港に寄港しながら12日間かけて往復しています。主要な港のほか住民や貨物が乗降するだけの小さな港にも寄港する、沿岸住民の生活の足として欠かせない世界最北の定期船。深く入り組んだフィヨルドの断崖、静かな海に点在する島々、牧歌的な村々など絶景に恵まれた航路は、『世界で最も美しい船旅』と 謳われ、世界中の人々から人気を集めています。一年を通して運航しており、好きなシーズンにお出かけいただくことが可能です。
ベルゲン→キルケネス→ベルゲン、ノルウェー北西岸沿いを往復する12日間のクルーズ。 往復とも同じ港に寄港しますが、往路で夜に訪れたら復路は昼というように寄港時刻が異なるので、各地の魅力をあますことなく堪能できます。季節毎に異なるフィヨルドを航行します。 4月~5月:白銀の山々リンゲンフィヨルド(復路) 、6月~8月:雄大なガイランゲルフィヨルド(往路)、9月~10月:静寂のヨールンフィヨルド(往路) 往路は大都市への寄港やエクスカーションでアクティブに、復路はフィヨルドの絶景を楽しむゆったりした船旅を満喫。 一番おすすめの決定版コースです。
出港は夜なのでベルゲン散策へ出発。まずはサーモン、エビ、カニが並ぶ魚市場で、名物甘エビのオープン・サンドイッチを注文。近くのフィヨルドで捕れた甘エビは新鮮で塩味が効いていて美味!お腹を満たした後は、港沿いのブリッゲン地区をぶらぶらし、土産物店で黒地に白い雪模様のニット帽を購入。ケーブルカーでフロイエン山を登ると、眼下にはベルゲンの町並みと海が広がり、港には船が停まっています。夜からあの船で旅に出発です。
いくつかの港に立ち寄った後、切り立った岩山が水面に映るフィヨルドの静寂の中を船はゆっくりと進みます。フィヨルドの国ノルウェーにやって来た!という実感が湧いてきます。対岸にはカラフルな家々が点在し、牧歌的な雰囲気です。
トロンハイムは運河沿いに水色、黄色、赤とカラフルな建物が並ぶ町。通学途中の子供や自転車に乗った人が通り過ぎていきます。ノルウェー人の日常を観察しながら歩くのも何だか楽しいもの。出港後、『今からノルウェーで最も美しい灯台を通り過ぎます』という放送が聞こえ、サンデッキに出て海上を眺めると、小さな岩の上にずんぐりした赤い八角形のかわいらしい灯台が立っているのが見えます。
朝、北緯66度33分を超えると、ここから先は北極圏。夏は一日中太陽が沈まず、冬は一日中太陽が顔を出さない何とも不思議な世界です。空気が少し冷たくなっているような気もします。『今から北極圏通過儀式を行います。デッキに集合して下さい』と放送があり、クルーが『これから海の神ネプチューンが皆様に洗礼を授けます。ご希望の方は前へどうぞ。』希望者が進み出ると、ひげもじゃの海の神様がバケツに入った氷水を柄杓ですくい、乗客の襟元に氷水を浴びせかけます。『ぎゃあ~』と叫びながらも何だか嬉しそう。
北極圏最大の都市トロムソに入港。さっそく、世界最北の醸造所で作られるというマック・ビールを飲みに、直営ビアホール・ウルハーレンへ。店内にはホッキョクグマの剥製が出迎えてくれます。カウンターには数種類のビールサーバーが並び、おすすめの一番人気、ピルスナーを注文。ホップの苦みに軽やかな喉越しで美味しい!周りは地元の人が多く、仲間とわいわい飲む人、新聞を読みながら静かにビールを飲む人などさまざまです。夜、南へ向かうフッティルーテンの船とすれ違い、お互いに汽笛を鳴らして挨拶をします。
ホニングスヴォーグからオプショナル・ツアーに参加し、ノールカップ岬。木が全く生えていない荒涼とした大地をバスは進むと途中にトナカイを発見!ノールカップは断崖絶壁の上にあり、風がびゅうびゅう吹きすさぶ中眼下を見下ろすと、目の前に拡がるのは海だけ。ここから北極点の間には海と氷塊以外何もありません。地球の果てまでやってきたな・・・と感慨もひとしお。明日は北の終着点に到着。晩御飯は食べ放題のシーフード・ビュッフェで、エビやカニもある!獲れたて新鮮なシーフードに素手でかぶりつき、大満足です。
朝、フッティルーテン・北の終着地キルケネスに到着。タクシーに乗り、高台から見下ろすカラフルな家々はまるでおもちゃで出来た街のよう。黄葉が街並みに映え、とても美しい眺めです。ここからロシアとの国境までは15kmしかないのですが、時差は2時間あり、近くても遠い距離を実感。港に戻り、船は南に向け出港します。
ハンメルフェストに入港します。この街は沖合にあるガス田で繁栄しており、モダンな建築物カルチャー・センターはその産物。若い子連れのカップルが多く見られます。夕食後、のんびりラウンジでくつろいでいると、『オーロラが出現しました』のアナウンス。急いでサンデッキにかけ上がると、空一面にオーロラ!壮大な宇宙のショーにしばし言葉を忘れ、生きていて良かったと思わせてくれる体験でした。
島々をつなぐ橋の間を抜けながら船は進み、橋の上を歩く地元の人達に思いっきり手を振ると、手を振り返してくれます。船は20㎞に渡って急峻な山々が両岸に続くラフテスンデ海峡へ。1,000m級の山が海面から顔を出す『海のアルプス』は今までとは明らかに違う光景で、まるで神話の世界に入り込んだような気分になります。現実の世界にいるのかおとぎの国にいるのか、分からなくなってしまうような経験です。
昼過ぎにサンネスショーエンに入港。目抜き通りに商店が並び、スーパー・マーケットで牛乳やお菓子のパッケージを見るだけで楽しくなります。ベルゲン風魚のスープとロフォーテン風魚のスープ、何が違うのだろうと思いながら、お土産にスープの素を買ってみます。サンネスショーエンを出港するとすぐに、山の峰が連なる『セブンシスターズ』が姿を見せました。美しい七人姉妹が太陽の光に当たり、石になってしまったという民話が残されているそうで、そう言われれば・・・と妙に納得です。
夕方、サンデッキに出ると空が黄金色に染まっています。極北の太陽は低い位置で静かに冷たく燃え、海面に光を反射させながら海の中に沈んでいきます。この船旅で最後の夕日を眺めながら贅沢な時間を過ごした後は夕食へ。前菜はトナカイの燻製、主食はオヒョウのバジルソ-ス添え、デザートはベリー・スープ。ノルウェーならではの素材に舌鼓を打ち、心身が満たされ幸せを感じると同時に、明日で旅は終わるのだ、とふと寂しい気持ちに。
再び、ベルゲンへ戻ります。南北ノルウェーを旅することで、素晴らしい風景の中に住んでいるノルウェー人の豊かさを実感し、少しの時間だけでもその一部になった自分は幸せだなと感じることでしょう。
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