グリーンランド・エキスプローラー・クルーズ12日間の過ごし方
氷に覆われたグリーンランド。巨大な氷河や氷山とツンドラ大地の緑、カラフルな家々など、ダイナミックな風景とイヌイットの人々を訪れるクルーズ。美しい氷山の美しいブルーや、短い夏に咲き乱れる花々など、美しい色を発見。鯨やアザラシなどの野生動物との出会いも期待できます。コペンハーゲン~カンゲルルススアーク間の航空券が含まれているコースもあるので、訪れる事が難しいグリーンランドにも楽々アクセス可能です。
グリーンランドの氷河と氷山、氷の世界を満喫するクルーズ。 街を結ぶ道のないグリーンランドの船だから訪れる事が出来る村を訪問します。 海沿いに並ぶカラフルな家々が見えてくると、村に近づいた印です。 独特な文化を持つイヌイットの文化に触れれば、新しい価値観を発見することができるでしょう。 氷山の絶景を楽しむことが出来る世界遺産のアイスフィヨルド(イルリサット)は必見。 グリーンランドクルーズの様子をご紹介します。
コペンハーゲンから航空機に乗って、4時間ほどでグリーンランドのカンゲルルススアークへ。グリーンランドの上空で窓の外を見ると、氷で覆われた島であることを実感。港までバスで移動すると、沖合に船が停泊しています。あの船に乗るんだ!とワクワク感は最高潮!ゴムボートに乗り換えていよいよ乗船。
海岸沿いにへばりつくようにに建つ赤、青、緑、紫、カラフルな家々が姿を現し始めます。いよいよグリーンランド第2の街シシミウトへ!街を歩くと、人間の倍以上の大きさもあるかというクジラの骨のオブジェがあり、その中を通って進むと古い建物と青い教会が立っています。18世紀に建てられたグリーンランドでも最古の教会です。
エクスカーションのハイキングに参加して、ディスコ島のケケタルスアークを訪問。古い火山の島で、荒々しい黒い玄武岩で覆われています。木が生えてない不毛な地のように見えますが、鮮やかなピンクや黄色の花が咲いていて心が和みます。眺めのよいスポットから見下ろすと、海には氷山が浮かんでいて『遠くへきたもんだ・・・』と実感。街へ戻ると少年たちがサッカーをしていました。大きな氷山がぷかぷか沖合に浮かぶ非日常的な風景の中で、暮らしている人々がいて、とても不思議な気持ちに。
ディスコ湾の南東の街カシギアングイットに到着。今日はエクスカーションの氷山クルーズに参加します。いろいろな色や形をした氷山がたくさん浮かび、まるで不思議の国に迷い込んだような錯覚に陥る非日常的な光景です。『あそこにクジラにいる!』と指さす方に目を向けると、遠くの方でプシューとしぶきが上がっています。少しずつボートが近付くと尾びれを見せながら泳ぎ回るクジラの姿が。『すごい!本物だ・・・』と、思わず感激です。
面白い形の岩山とカラフルな家々が並ぶウーマナックは、グリーンランドの中でもとりわけ美しい風景の街と言われています。植村直己の『極北に駆ける』を読んで以来、イヌイットの人に興味があったので、『イヌイットの人と語ろう』というエクスカーションに参加し、アザラシ漁師という住民の話を聞きました。こんな隔絶したところで生活するのは大変だと思いますが、海に行けば獲物は取れるし、夏にはベリーもあるし、今はスーパーに行けば炭酸飲料も買えるし問題ないとのこと。でも数十年前までは、自給自足の暮らしがあったのです。
今日は人口がたった80人程度という小さな島、イロルスイットに寄港。漁業やアザラシ猟、クジラ漁が主な産業で、観光スポットといわれるものはありませんが、村を散策すると犬が繋がれていたり、 軒先にはアザラシやクジラの肉が干されていたりと、生活感に溢れています。ここで活躍するのはマイカーならぬマイボートかマイ犬ぞり。スノーモービルは一回壊れたら戻って来られないけど、犬ぞりは一匹に何か起きても残りの犬に引かれて戻って来られるから便利だとのこと。船の上から『ミッドナイト・サン』と氷山を静かに眺め、こんな美しい風景がこの地球上にあったんだ・・・と心の底から湧き上がってくる感情にじっと浸ります。
エクスペディション・チームのフリーダは地質学者だった時代、この場所にテントを張ってフィールドワークに出かけたそう。上陸許可を取る際、特に名前のついていなかった場所を説明するために『キャンプ・フリーダ』と一時的に呼んでいたところ、いまでは正式に『キャンプ・フリーダ』という名になりました。自分の名前が地名になるなんてすごい!電気もガスもない誰も住んでいないこの場所で研究を続けたなんて、たくましい女性だと感心しました。
エキップ・セルミアでは岩山の間の巨大な氷河が海に流れ落ちています。その大きさは圧倒的で、今まで見たスイスの氷河とはスケール感が全く違います。エクスペディション・チームのスタッフによれば『グリーンランドは島の80%以上が氷で覆われていて、一番分厚いところは3,000mもの厚さがある!』とのこと。『本当に氷の河が流れているんだ・・・』と実感。
いよいよ楽しみにしていたイルリサット。『気候変動の影響により氷山で湾が埋め尽くされると、寄港できないかもしれない』と昨日の説明で言われていましたが、『乗客の皆さん。今日はイルリサットに入港できます!』とのアナウンスに『Yeah!』という声で船内が一気に盛り上がります。湾には無数の氷山がひしめき合い、大きいものは高さ、幅とも300mはありそう。海面は波も立たない鏡のようで、静寂に包まれ、現実離れした光景です。
今日は最後の寄港地イテリク村。人口がたったの130人ほどの小さな村に200人の乗客がやってくるので、まるでお祭りのような騒ぎです。普段は静かな村に世界各国の人がやってくるので、村の人々もフラム号の夏の来訪を楽しみにしているそう。自然とクルーや乗客と地元の子供たちがサッカーで遊ぶようになり、今では親善サッカー試合が恒例の行事になっています。
カンゲルルススアークに戻り、下船してバスで氷河へ。途中、遠くの方で毛むくじゃらのジャコウウシが草を食んでいます。数日前、スーパーで買って食べたジャコウウシのビーブジャーキーを思い出し、なんだか複雑な気持ちに。イヌイットの人たちは木も生えないような場所で、手に入るものだけを生かして生活してきました。アザラシやジャコウウシを狩猟して食べて生きぬいてきたのです。そうしたイヌイットの人々の力強さと知恵こそがグリーンランドの宝なんだと感じながらグリーンランドを後にしました。
早朝コペンハーゲンに到着。イヌイットの人たちの知恵を学んだことを一生忘れられない宝物として、日本へ帰ります。
2022年 08月:09
2023年 08月:09,18